【プレスリリース】ドライアイに関わる新たな機構を発見

星薬科大学 先端生命科学研究所 生命科学先導研究センター ペプチド創薬研究室の塩田清二 特任教授および富山大学大学院理工学研究部の中町智哉 助教らの研究グループは、涙の分泌に関わる新たな機構を発見・解明しました。涙液分泌を促進する機構が明らかになったことで、ドライアイなどの乾燥性疾患に対する効果的な治療法の開発に繋がることが期待されます。この成果は今月中に雑誌Nature Communicationsにて発表されます。

 

【研究の概要】

星薬科大学先端生命科学研究所船名科学先導研究センターの塩田 清二 特任教授、および富山大学大学院理工学研究部 (理学) の中町 智哉 助教らの研究グループは、涙の分泌に関わる新たな機構を発見、解明しました。涙液分泌量の低下は眼球乾燥症(ドライアイ)の主な原因となっており、涙液分泌の制御機構を明らかにすることはドライアイ患者への効果的な治療法の確立に向けた重要な研究課題です。しかしながら、これまでに涙液分泌を長期間にわたり促進させる有効な治療法の開発はほとんど進んでおりませんでした。

塩田清二 特任教授と中町智哉 助教らの研究グループは、神経ペプチドの一種である下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド (PACAP) の遺伝子欠損マウス (PACAP KOマウス)が加齢に伴って角膜障害や涙液分泌雨量の低下といったドライアイ様の症状を示すことを発見しました。このことからPACAPには涙液分泌促進作用があると考え、PACAPをマウスに点眼したところ、涙の分泌が点眼開始15分から45分以降まで有意に増加しました。また、ドライアイ様症状を示したPACAP KOマウスでもPACAPを点眼することにより、涙液分泌量が回復し、さらに連続でPACAPを微量点眼することで角膜障害の進行を抑制することができました。PACAPによる涙液分泌促進メカニズムを解析したところ、PACAPは涙腺で発現する水チャネルの一種であるアクアポリン(AQP)5に作用し、AQP5を細胞質から細胞膜に移動させることにより、細胞膜上の水の通り道を作成し、涙液分泌を促進することを明らかにしました。

本成果により、ドライアイなどの乾燥性疾患の原因解明ができ、PACAPのドライアイ予防・治療薬の創薬展開が期待されます。

 

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